お盆は恋色

第二話 空白の時間 幸大編

▼cast

内藤 幸大(ないとう こうだい)..元気で無邪気な18歳男


伊吹 和樹(いぶき かずき)..幸大の友達で、気がつよい心配性な18歳男。


原田 恵美(はらだ えみ)..後輩の女の子。気が弱いが優しい。16歳


内藤 幸子(ないとう さちこ)..幸大の母。



※恵美と幸大の母は場面被りが無いので1人2役が可能です

▼story

お盆が過ぎて3ヶ月後、幸大を心配する友達の和樹。幸大に恋をする恵美。

"お盆は恋色~二人きりのデート~"続編。



▼本編


幸大"君が天国に帰って、3ヶ月が過ぎた。俺は相変わらず君に手紙を書いている。君に届いているといいなぁ。君は元気にしているかなぁ。と考え事をしながら。"


和樹「幸大!幸大!」


幸大「ん..なに?」


和樹「なんだよ。ボーっとしてよぉ?」


幸大「いや、別に。」


和樹「ふーん。変なの。まぁいいや。それよりさ。」


幸大「んー?」


和樹「彼女欲しい!!」


幸大「知らねぇよ(笑)そんなこと。」


和樹「ええ!?お前それでも男か!ロマンはねぇのか!!」


幸大「んー。無いことは無いけど。」


和樹「けどなんだよ。」


幸大「カニ..捕まえられねぇの。」


和樹「カニ?あー、陽愛ちゃんのこと言ってんの?」


幸大「うん。そう。」


和樹「もう忘れろよー!あの事故からもう4年だぞ!?」


幸大「..いや。」


和樹「いいか幸大!たしかに、あの事故は不幸だったよ。とてつもなくな。俺もそう思う。

だけどな、死人は帰ってこないの。いい加減、現実を見ろよ。」


幸大「...。」


和樹「わかったらお前も彼女つくれ!いいな。」


幸大「そう言われてもな..」

"俺は陽愛しか..みれないと思う。"


恵美「すみません。幸大先輩いらっしゃいますか?」


幸大「え、あ。俺?」


恵美「あ、こ..これ!」


幸大「ん...?」


恵美「失礼します!」


幸大「...。」


和樹「なになに!」


幸大「手紙。」


和樹「放課後、体育館裏で待ってます!?」


幸大「え?」


和樹「これ、ガチ告じゃね!?」


幸大「なわけねぇだろ..」


和樹「あるって!!これは脈ありとみた!」


幸大「んー。」


和樹「幸大!絶対行けよ!!」


幸大「行かねぇよ。今日は海に行くし。」


和樹「何言ってんだよ!!もう11月だろ!?

海なんか何しにいくんだよ。」


幸大「え?貝殻ひろい。」


和樹「そんなもん、いつでも出来るだろ!?

とにかく、もう死んじまった陽愛ちゃんは戻らないんだから。もう居なくなって4年だぞ!?

いい加減忘れて次の恋愛しろって。

その方が絶対陽愛ちゃんも喜んでくれるって!」


幸大「どうかな。」


和樹「喜ぶんだよ!いいから行けよ!?レディを悲しませるんじゃねーぞー!」


幸大「...。」

"和樹が俺を心配してくれてるのは、分かってる。けど、俺は陽愛が好きだ。忘れるなんて、できない。"



幸大"放課後..結局俺は体育館裏へは行かなかった。海の静かな波の音だけが、俺をはげましてくれる。"

「お、きれいな貝殻!...なぁ、陽愛。俺..陽愛だけを想い続けるから。それで、いいよな?」

"二時間ほど、海にいたと思う。俺は真っ暗な道の中、自転車をこいで帰った。"


母「幸大」


幸大「母さんただいま。何?」


母「どこいってたの?今日ね、女の子が来たのよ?」


幸大「女の子?」


母「体育館まで呼んだのに来てくれなかったって。本当?」


幸大「うん。」


母「馬鹿ね。何で行かなかったの?」


幸大「..いいんだよ。べつに」


母「いいこと無いわよ。可愛い子だったわよ?もしかしたら、告白だったかも。」


幸大「..もういい?」


母「ねぇ、幸大。もしかして、陽愛ちゃんのこと、まだ気にしているの?

もしそうなら、もういいじゃない。4年も想ってるんだもの。そろそろ次の恋をしたって、バチはあたらないわ。」


幸大「なんで」


母「え?」


幸大「なんでさ!!なんで皆して陽愛を忘れろだなんて言うんだ!もう..放っておいてよ!

誰の事を想おうが、俺の勝手だろ!!」


母「幸大..!」


(ドアを閉める音)


幸大「はぁ..はぁ....くそ..くそくそくそ!!ああ、ああああ!!」


幸大"それから俺は、いつの間にか寝てしまったようで、俺は今日も学校へ向かう。"


和樹「おはよ。」


幸大「おはよ」


和樹「なぁ、なんで行かなかったんだよ。」


幸大「なんでって、?」


和樹「今からいくぞ。」


幸大「えっ。」


和樹「ほら。」


*体育館裏


和樹「つれてきた。」


恵美「あ、先輩..」


幸大「うん..」


恵美「先輩っ..あの、私、先輩のこと、好きです。」


幸大「...。」


恵美「でも、もういいんです。」


幸大「え?」


恵美「誰かを想ってるんだって、すぐ分かりました。誰かを想うって、すごくドキドキしますよね!..他の誰も見えなくなる。」


幸大「...うん」


恵美「先輩..頑張ってくださいね!」


幸大「陽愛」


恵美「え?」 


幸大「陽愛っていうんだ。」


恵美「陽愛さん、か。可愛いんだろうな。」


幸大「うん..すごく。」



和樹"それからチャイムが鳴ったから、俺らは教室へ戻った。

...それにしても、幸大のやつ、本当に陽愛ちゃんのこと好きなのな。

まったく、一途とはコイツのこと言うんだよなーって、つくづく思うよ。

それにしても、アイツばっかモテやがって。

なんでアイツみたいな馬鹿がモテるかなー。

俺もモテ期、こねぇかなー!"


恵美"先輩の気持ち、私にも分かるから。

無理に私を見て。なんて言えない。

なんだか先輩の恋を、応援したくなっちゃった。

あーあっ。私の恋は..終わりかな。

でも、先輩。私、きっとこれからも先輩が好きです。想うことくらい、許してくれますよね?"


幸大"結局、俺は陽愛のことしか見れない。

例え死んでいたって、陽愛は大切な人だから。

毎年、お盆の日に、陽愛と会って俺はまた君に恋をする。

前会った時よりも、君への想いが強くなる。好き..好き。好き。この想いは変わらない。"



end