壱国物語

番外編 二人の出会い

▼cast

ライ♀

ルナ♀



▼本編


ルナ「なぁ..ライ。」


ライ「なんだい?ルナ。」


ルナ「ありがとな。」


ライ「なんだい?急に。」


ルナ「ライがルナを拾って育ててくれなかったら、ルナは死んでいた」


ライ「ルナ..みずくさいね。そんなこと、言うもんじゃないよ。でも..言われると思い出すね。あの日のこと..」



*回想


ライ「ん..?今声が..」


ルナ「に..にゃあ..」


ライ「っ..!虎!!」


ルナ「にゃ..ぅ..」


ライ「なんだ..子供か。..?お前、ケガしてるのか?血の臭いがする。」


ルナ「うう..」


ライ「ケガは、どのくらい酷いんだい?歩けそうかい?」


ルナ「に..にゃあ..。」


ライ「..無理そうだね。ほら、つかまりな。」


ルナ「う..うう...」


ライ「あたしの家につれてってやる。そこで治療しよう。」


ルナ「ん..。」


ライ「ほら、すぐそこだから。しっかりするんだよ!」


ルナ「に..にゃ!」


ライ「..ついた。ここに寝てな。」


ルナ「にゃう..」


ライ「ほら。薬草を磨り潰した塗り薬だよ。ちょっと..しみるよ!」


ルナ「ヒギャー!!」


ライ「コラ、暴れるんじゃないよ。」


ルナ「ううう...!いたい!!」


ライ「クスッなんだ。しゃべれるのか。」


ルナ「少し..だけにゃら。」


ライ「ふむ、なるほどね。私はライ。あんたは?」


ルナ「ル..ルニャ。」


ライ「ルナ。良い名だね。そうだ。鹿飯、食うかい?今朝狩ってきたばかりなんだ。」


ルナ「にゃ!」


ライ「じゃあ、持ってくるね。..はい。これが私が作った鹿飯だよ。どう?美味そうだろ?」


ルナ「うまそ!うまそ!」


ライ「ふふっ。今まで料理を振る舞う相手なんて居なかったからね。嬉しいよ。」


ルナ「にゃ!食いたい!」


ライ「ああ、たんとお食べ。」


ルナ「ハグッ...ハグッ..ん~っみゃ!」


ライ「ほらほら。そんなに慌てると喉に詰まらせちまうよ。」


ルナ「ゲフッ」


ライ「ほら。言わんこっちゃない。ほら。水。」


ルナ「んぐっ..んぐっ..ぷはーっ!」


ライ「まったく、狩り上手な虎が腹ペコかい。まったく可笑しな子だね。」


ルナ「ライ!」


ライ「ん?なんだい?」


ルナ「おかわり!」


ライ「クスッ。はいはい。」


ルナ「ハグッ..ハグッ..ハグッ..」


ライ「ほら、ゆっくりお食べよ。」



*回想明け


ライ「あれから..すっかり私になついてくれて..ありがとうね。

ずっと1人ぼっちで、目も見えない私は、自分のためだけに獲物を狩って暮らしてた。

真っ暗な世界で..自分以外の気配を感じることも無くね。

私の感覚に入ってきたルナの気配は、私にとって、かけがえのないもんだよ。なぁ、ルナ?」


ルナ「zzz..zzz..フヘヘッ。鹿飯..」 


ライ「フフッなんだい。人が思い出にふけっている最中に寝ちゃったのかい?

まったく、仕方ないね。

さて、今日も鹿飯をつくろうかね。」



end